ししゃものオスに卵があるって噂を聞いたんだけど本当?
子持ちと卵なしはどっちが美味しいのか気になる!
そもそもオスとメスでは味や栄養に違いがあるのかな……。
通常、ししゃもはオスでも卵を注入して売られているよ。
一般的に日本では子持ちの方が好まれているみたいだね。
オスとメスを見分ける方法や両者の違い、おすすめのレシピを見ていこう!
この記事でわかること
- ししゃもの本当の名前とオスに卵がある理由
- オスとメスの違いや見分け方
- ししゃものオスは美味しいかどうか
もくじ
「子持ちししゃも オス」は実はししゃもではないことが多い
ししゃもといえば、スーパーでも手頃な値段で売られていることが多く、大人から子どもまで幅広く親しまれている魚ですよね。
グリルやトースターで焼くだけで食べられるほか、頭からしっぽまで余すことなくいただけるのも人気の理由といえるでしょう。
しかし、実は私たちがよく目にしている「ししゃも」は、厳密にいえばししゃもではありません。
「どういう意味?」と聞きたくなってしまいますが、これはそのままの意味。
安く手軽に入手できる魚を、ししゃもとして販売しているのです。
下記のようなものを見て、子持ちししゃものオスってどういうこと?と疑問に思った方も多いかと思います。
これは前述したように本ししゃもとは別の名前の魚なのです。
子持ちししゃもの名前は?
市場に出回っているししゃもは「カペリン」という名前
普段食べているのが「ししゃもじゃない」とはいえ、まったく別の魚……というわけではありません。
私たちが普段食べているのは、「カペリン(キャペリン)」という魚。
これは別名「カラフトししゃも」と呼ばれ、「本ししゃも」とは異なる品種なのです。
ノルウェーやアイルランド・ロシアといった寒さの厳しい地域で獲れるカペリンは、1900年代から樺太周辺でも水揚げされるようになりました。
卵をたっぷり抱えていること、比較的水揚げ量が多いことなどから、手頃な価格で食卓に並ぶようになったのです。
スーパーで売られているのを見ても、10匹前後で数百円と家計に優しいのが特徴ですね。
ししゃもとカペリン(カラフトししゃも)の違い
いわゆる「本来のししゃも」である本ししゃもとカペリンには、大きく違う点が3つあります。
最初に目につく違いとして、うろこの大きさを見てみましょう。
本ししゃもは大きくてはっきりとしたうろこが確認できますが、カペリンの場合は非常に細かく、しっかり観察しなければうろこが見つからないほど。
干物にしてあるとなかなか分かりにくいですが、生の状態であればある程度判別できます。
そして、しっぽの前あたりにある「脂ひれ」も、本ししゃもは大きく目立つのに対し、カペリンは小さいのが特徴。
これに対し体の大きさだけはカペリンの方が大きく、最大で20cmほどになる個体も出てきます。
- うろこが大きくてはっきりしている
- ヒレが大きくて目立ちやすい
- 背中が暗い黄色
- 全体的にふっくらとしている
- うろこが小さくて細かい
- ヒレが小さくて目立ちにくい
- 背中が濃い緑色
- 全体的に細長い
- 大きいものでは20cmになる
本物のししゃもは北海道でしか獲れない
では、どうしてカペリンを「ししゃも」という名前で販売するようになったのでしょうか。
そもそもししゃもは古くから日本で食べられてきた人気の魚でした。
しかし人気が故に乱獲が続き、過去には絶滅の危機に陥ったことも……。
種の根絶を防ぐために、現在は本ししゃもの漁獲量を制限し、多く獲りすぎないように調整されているのです。
しかし手軽で美味しいししゃもの需要が減ることはなく、このままでは価格が大幅に高騰してしまう……というとき、代用品として提案されたのがカペリンでした。
年に数千トン、北海道でのみ水揚げされる本ししゃもに対し、カペリンは北極海周りで年に数十万トンの漁獲量を誇ります。
「獲れる範囲」そして「漁獲量」の違いから、現在はカペリンの方が多く流通しているのですね。
「一度本ししゃもを食べてみたい……」という方には通販での購入がおすすめ。
楽天市場では、新鮮な本ししゃもを手軽に味わえますよ。
卵なしオスのししゃもには卵を注入している
ししゃもの特徴として忘れてはいけないのが「卵」。
小粒のプチプチとした卵がぎっしりと詰まっていて、味わいはもちろん食感も楽しめるのがポイントです。
しかし中には卵が入っておらず、食べてみてガッカリした……なんてことも。
「卵が入っていないから、これはオスだったんだな」と考えるのが自然ですが、実はそうとも限らないのです。
オスが「子持ちししゃも」になれる理由
実は、市場に出回っているほとんどのししゃもには卵が詰まっています。
商品名も「子持ちししゃも」として売られていることが多いため、「メスだけを選別している」と勘違いしてしまいますよね。
実は子持ちししゃもにはオスとメス両方のししゃもが混在しています。
元々卵をもっていないオスのお腹には、傷があったり規格外だったりして売り物にならないメスの卵を注入しているのです。
そのため、卵の有無だけでししゃものオスメスを区別することはできません。
日本人の好みに合わせた結果
世界の中でも、特に日本人が好んで食べるといわれる「魚卵」。
イクラ、カズノコ、明太子などさまざまな魚卵がありますが、このプチプチとした食感がたまらない……と感じる方も多いのではないでしょうか。
そんな日本人の好みに合わせた結果、敢えてオスのししゃもに卵を注入して販売しているのです。
そもそもししゃもはメスだけで群れをつくって回遊する習性があります。
つまり、細かな選別がなくてもメスだけを販売できるということ。
しかしそれ以上に流通量を増やしたい……という思いが、「オスの子持ちししゃも」を生み出すきっかけとなったのです。
ししゃものオスとメスの違いとは?見分け方や値段の違いを調査
ここからは、いわゆる「偽ししゃも」と呼ばれるカペリンではなく、本ししゃもについて深堀りしていきましょう。
カペリンは数百円ほどで売られていることが多いですが、本ししゃもの値段は約10倍ほど。
安価なイメージが定着している反面、実は高級魚という特徴があるのです。
そんな本ししゃも、実はオスとメスで明確な違いがいくつか挙げられます。
ししゃものオスとメスでは何が違うの?
本ししゃもの場合、お腹が膨らんでいたらメス、そうでなければオス……という見分け方が一般的です。
しかし卵を持っていないメスもいれば、メス並みに大きなおなかのオスもいるため、そのほかにもいくつかの見分け方が存在します。
ヒレ
オスとメスでは、ヒレの形が違います。
下腹についているヒレは、オスの方が目立つのに対し、メスはほとんど見えないほど小さいのが分かりますね。
尾ビレも同じで、メスはコンパクトで角ばっているのに比べ、オスは長く丸みを帯びた形をしています。
ヒレが大きく水をかく力の強いオスは、産卵期になるとさらにヒレが大きくなります。
体
旬である産卵期になると、オスとメスで体の色が変わり、違いがはっきりと分かるようになります。
メスは白っぽいまま変わりませんが、オスの体はだんだんと黒ずみ、腹側の赤みが目立つように。
この黒ずみは婚姻色とも呼ばれ、メスの気を引くために重要な役割を果たしているといわれています。
オスとメスで値段が違う
本ししゃものオスは、10匹入って1,000円~2,000円ほどで販売されています。
カペリンに比べ、気軽に食べるには少々値段が高い魚ですね。
しかし、メスになるとさらに値段が上がり、10匹で3,000円~4,000円とオスの倍以上になります。
オスメスで味が違う?どっちが美味しいの?
オスメスで値段が大きく異なるのは、「元々卵が入っているから」という理由だけではありません。
一般的にオスは身が痩せているため、食用にはメスが選ばれることがほとんど。
出産に備えて栄養分をたっぷり溜め込むメスは、卵を含め食べ応え抜群なのが特徴です。
カペリンの場合はメスの卵をオスに注入して販売していますが、本ししゃもの流通はメスがメイン。
オスの本ししゃもはなかなか見かけないため、見つけたら一度試してみてはいかがでしょうか。
ししゃものオスはどうなるの?
日本では卵が入ったししゃもが好まれていて、スーパーに行っても卵が入ったししゃもが並んでいますよね。
それなら、オスのししゃもはどうなるの?と疑問に思う方もいるでしょう。
まず、前述したようにスーパーで安く売られている子持ちししゃもは、本ししゃもではなくカペリン(別名カラフトシシャモ)になります。
そこで、本ししゃも・カペリンそれぞれのオスはどうなるのかは下記のようになります。
- 本ししゃものオスは北海道で食べられる
- カペリン(別名:カラフトシシャモ)のオスは卵を注入されて販売される
それぞれ詳しく解説していきます。
本ししゃものオスは北海道で食べられる
本ししゃもはそもそも大量に漁れません。
北海道産のししゃもは、カペリンとは全く別の魚と表現されるほど味が違います。
脂がのっていて、旨味も凝縮されていてオスの身はとても美味しいので、北海道ではオスの方を好んで食べる方もいるほどです。
カペリン(別名:カラフトシシャモ)のオスは卵を注入されて販売される
カペリンのオスは、卵を注入されて売られています。
じゃあその卵の正体って??
確かに、注入されている卵ってなんなの?と疑問に思うかもしれません。
これは、身が傷ついて商品価値がなくなったメスの卵のことが多いようです。
そのため、完全に人工物というわけではないのでそこは安心して良さそうです。
ししゃものオスの味は美味しい?
続いて、流通量の少ない本ししゃもの中でも、特に珍しいとされるオスのししゃもについてご紹介します。
「ししゃものオスが美味しいならぜひ食べてみたい」と感じる方も多いのではないでしょうか?
根っからの魚好きや漁場関係者に聞くと、「オスの方が好きな味だ」と答える割合が多いのだとか。
その理由や味わいについて深堀りしてみましょう。
ししゃもはうまいかまずいかどっちなの?
カペリンのオスは、「卵を入れてこそ食べられる」といわれるほど、単体ではそれほど需要がありません。
しかし本ししゃもの場合、中には「メスよりも好き」とはまってしまう人も……。
メスに比べて淡泊であっさりとしていますが、脂の味が濃く、その味わいは鯛などの高級白身魚にも匹敵するほど。
卵に栄養を取られてしまうことがないため、身や内臓も魚の旨みをしっかりと感じられます。
また、たくさん泳いでメスにアピールをするため、身が締まっていて歯ごたえが良いのもポイント。
しっかり焼いても身が硬くなりにくく、芳醇な香りが口の中に広がります。
旬の秋には刺身でいただこう
本ししゃもは、秋に旬を迎えます。
とはいえ、夏の終わりから冬の始まりまでたっぷり味わえる……というわけではなく、10~11月までの期間しかないため注意しなくてはなりません。
年に2ヶ月しか味わえない旬の本ししゃもは、ぜひ刺身にして食べてみてください。
脂の旨みを最大限に味わえ、とろっとした滑らかな口触りが病みつきになりますよ。
ししゃもの刺身については、こちらの記事をご覧ください。
ししゃもに栄養はある?カロリーや糖質・コレステロールが気になる
ついパクパクと食べてしまうししゃもですが、ダイエット中や糖質制限中に食べても良いかどうか気になりますよね。
まず、ししゃもに含まれるカロリーや栄養素を見てみましょう。
- カロリー:23kcal
- タンパク質:3.2g
- 脂質:1.2g
- コレステロール:35㎎
- ビタミンA:15μg
- カリウム:57㎎
- カルシウム:50㎎
- リン:65㎎
- 葉酸:6μg
1回の食事で5匹のししゃもを食べるとすると、個体差を考慮して100~150kcal程度のカロリーを摂取することになります。
ほかの魚に比べると若干低めなほか、骨ごと食べることでカルシウムを多く摂取できるのもポイント。
筋肉のはたらきを強化する役割があるため、筋トレや体力アップにも役立ちます。
また、ダイエットだけでなく生活習慣病の予防としてもチェックしておきたいのが「コレステロール値」です。
成人では1日200㎎以下に抑えるのが理想とされていますが、5匹のししゃもを食べるとそれだけで175㎎に達してしまいます。
そのほかにも卵やレバーなどに多く含まれているため、同時に摂取する際は量に気をつけましょう。
そして同じく気になりがちな「糖質」ですが、ししゃもの糖質値は0。
糖質制限ダイエットをしていても、安心して食事に取り入れられますね。
食用カラフトししゃもの簡単で美味しいレシピ
続いて、一般的に出回っているカペリン(カラフトししゃも)の簡単なアレンジレシピをご紹介します。
もちろん本ししゃもでも美味しく食べられるため、たくさんのししゃもが手に入ったときはぜひ試してみてくださいね。
基本の焼き方
材料
- ししゃも:人数分
- あらかじめグリルやトースターを少しあたためておく。
- グリルの場合はそのまま、トースターの場合はアルミホイルを引いてししゃもを並べる。火に近づけすぎないよう、端の方に並べると焦げにくい。
- 片面の皮がぷくぷくと膨らみ、焼き色がついたらひっくり返す。
- もう片面を焼いたら出来上がり。
ししゃもが凍っている場合は、解凍せずにそのまま焼くことでドリップが流れ出てしまうのを防げます。
フライパンに油を引いて焼く場合は、中火にして途中で蓋をし、中までふっくらと蒸し焼きにするのがポイントです。
唐揚げ
材料
- ししゃも:5匹程度(1人分)
- 醤油:小さじ1
- 料理酒:小さじ1
- 片栗粉:適量
- 揚げ油:適量
- ししゃもに醤油と料理酒を加え、30分ほど冷蔵庫で寝かせて味を染み込ませる。
- 子持ちししゃもの場合は腹に爪楊枝で数ヶ所穴を開けておく。
- 漬けおいた後のししゃもは、キッチンペーパーで水分を拭き取っておく。
- 片栗粉をまぶし、170℃前後の油できつね色になるまで揚げる。
料理酒に漬け込むことで、魚特有の臭みを感じにくくなります。
卵が加熱により爆発する危険性があるため、爪楊枝で穴を開けるのを忘れないようにしましょう。
南蛮漬け
材料
- ししゃも:5匹程度(1人分)
- 薄力粉:適量
- 揚げ油:適量
- 玉ねぎ:1/3個
- ニンジン:1/2本
- 【A】醤油:大さじ2
- 【A】米酢:大さじ2
- 【A】砂糖:大さじ2
- 【A】みりん:大さじ1
- 【A】粉末だし:小さじ1/2
- ニンジンは千切りに、玉ねぎは薄切りにしておく。
- ししゃもの水分をキッチンペーパーで拭き取り、薄力粉をまぶしてカラッとなるまで揚げる。
- 【A】の材料をすべてボウルに入れて混ぜ、600Wのレンジで1分加熱する。
- 揚がったししゃもと野菜を【A】のタレに絡めて出来上がり。
カラッと揚がったししゃもは、温かいうちにタレを絡めて味を染み込ませるのがポイント。
慣れてきたら、酢や砂糖の配合をお好みに合わせて調節してみてくださいね。
フライ
材料
- ししゃも:5匹程度(1人分)
- 小麦粉:大さじ1
- 卵:1個
- パン粉:大さじ2
- 揚げ油:適量
- お好みのソース:適量
- ししゃもの水分をキッチンペーパーで拭き取り、爪楊枝で腹に数ヶ所穴を開ける。
- 小麦粉→溶き卵→パン粉の順でまぶし、170℃の油で火が通るまで揚げる。
- ウスターソース、醤油、ケチャップとマヨネーズのオーロラソースなどをつけて出来上がり。
お好みのソースならば何でも美味しく食べられるのが魅力です。
細身で食べやすいため、お酒のアテや子どものおやつにもピッタリです。
フリッター
材料
- ししゃも:5匹程度(1人分)
- てんぷら粉:大さじ2
- 水:適量(てんぷら粉の記載を確認する)
- マヨネーズ:大さじ1
- 油:適量
- ししゃもの水分をキッチンペーパーで拭き取り、爪楊枝で腹に数ヶ所穴を開ける。ここに手順を書く。
- てんぷら粉に水とマヨネーズを加えてよく混ぜ、ししゃもを絡ませる。
- フライパンに多めの油を引いて熱し、揚げ焼きにする。
衣をふんわりとさせるコツは、てんぷら粉にマヨネーズを混ぜること。
ほのかにコクが出て、ししゃもの旨みが倍増します。
【まとめ】ししゃものオスも子持ちで美味しく味わえる!本ししゃもと味を比べてみよう
ししゃものオスにも卵がある……その理由は、日本人が美味しく食べるために卵を注入して流通しているということが分かりました。
メスとは若干味に違いがありますが、本ししゃものオスは通がうなるほどの独特な味わいが魅力です。
普段慣れ親しんでいるカペリンの味と、本場北海道でしか水揚げされない本ししゃもの味を食べ比べてみてはいかがでしょうか。
唐揚げやフライなど、子どもから大人まで幅広く愛されるアレンジレシピにもチャレンジしてみてくださいね。