日本ではご飯が左側って決まってるのはなぜなの?
食べにくいから変えたいけど、マナー違反と言われないか心配……。
逆に置くと縁起が悪いって言われるのは、そもそも本当なのかな。
日本でご飯が左、味噌汁が右と決められたのはかなり昔のことなんだ。
それにはきちんとした理由や成り立ちがあるから、一緒に確認していこう。
マナー違反と言われないためにはどうしたらいいのか、食事の作法についても学んでおこうね。
この記事でわかること
- 日本でご飯は左、汁物が右と決まったのはなぜなのか
- 左右逆に置くのはどうして縁起が悪いのか
- マナー違反と言われないための正しい食事の作法
もくじ
ご飯を左側、味噌汁や汁物は右側におく理由はなぜ?
ほとんどの方が、昔から当たり前のようにご飯は左、味噌汁は右に置いて食事をとってきたことでしょう。
しかし、いざその意味について聞かれてみると、どうしてなのか答えられる人はそれほど多くありません。
和食ならではのルールともいえるこの置き方ですが、一体いつから日本で定着しているのか、その始まりと理由について深堀りしていきましょう。
平安時代から左側が上位だった
昔から日本では、偉い人は左側に位置するという決まりがあります。
お雛様でおなじみの「左大臣」と「右大臣」ですが、彼らの階級を比べると左大臣の方が上。
現代でも、「会議室では左側から社長を、右側に平社員を」というように、「左上右下」を守るのがマナーとされていますね。
これをご飯と味噌汁に置き換えて考えてみると、左側に置かれるご飯の方が偉いということ。
これは平安時代から変わらずに受け継がれている作法であり、昔からお米を敬うという日本人の考え方が変わっていないことが分かります。
お米には神様が宿っていると考えられていた
では、どうしてお米を敬い、ご飯を左側に配置するようになったのでしょうか。
それは、お米1粒には神様が7人宿っていると考えられていたためです。
詳しい内容には諸説あり、豊穣や幸福をもたらす「七福神」が宿っているという説や、土や水・太陽などお米を成長させる上で欠かせない自然の力が宿っているという説などさまざま。
中には人類に初めてお米=稲穂を授けたのは、太陽の神として有名な「天照大神」であるという説もあります。
つまりお米を食べるということは、神様を体に宿し、その力をいただいて生きるということ。
日本人にとって欠かせない主食であることからも、お米を敬う習慣が根付いていったと考えられています。
お金の代わりにもなる大切なものだった
日本では古くから金銭ではなくお米で税金を納める方法を採用してきました。
大人1人が1年間で食べるお米の量を「1石」と定め、その地域でどれだけお米が生産できるかで国の大きさを決めていた……という説もあります。
食べてパワーにするだけでなく、生活の上でも欠かせないものだったといえますね。
和食の基本的な配膳位置から決まった
古くはお米を敬うところから始まったといわれる「ご飯が左」のルールですが、これは和食の伝統的な配膳方法にも生かされています。
今でも和食料理店や旅館などに行けば、必ずといって良いほどご飯が左に配膳されているでしょう。
一説によれば、これは神様にお供えするお膳の配置と同じだとも言われています。
それだけ日本人が古くから神様を信仰し、神様と共に生きてきたことが分かります。
会席料理の並べ方が基本
日本ならではの食事が楽しめる会席料理は、和食のマナーがふんだんに詰め込まれています。
ご飯が左で右に汁物を置くのは基本中の基本。
そして真ん中に漬物などの「香の物」を置き、奥に煮物や焼き物が並ぶ「一汁三菜」の配膳でおなじみですね。
これが庶民の間にも広く知られるようになったのは幕末以降であるという説も。
のちに基本マナーとなり、身分の違いに関わらず同じルールで食卓を囲めるようになったのです。
右利き文化も影響している
全人口の約90%が右利きの中、日本人の右利き率はトップクラスの94.5%です。
つまりほとんどの人が右利きであるため、ご飯の位置を持ちやすい場所に動かすのは自然なこと。
お茶碗を持って食べるのが一般的な日本では、頻繁に持つご飯茶碗を左に置くようになったのではないか……といわれているのです。
現在はご飯を少なめに、おかずをたくさん食べて栄養バランスを整える人も増えてきました。
しかし昔の日本はあくまでもご飯がメイン。
大盛りご飯に薄めの汁物、そしておかずを少し……という食事が当たり前だったため、必然的にご飯を口に運ぶ回数も多かったのです。
汁物に手が当たってこぼしてしまう心配がなく、まさに効率的に食事がとれる配置といえますね。
とはいえ現代はおかずを食べる回数が増えてきたため、「ご飯が左では食べにくい」という意見も増えてきているようですよ。
ご飯と汁物を左右逆の位置に置くのは仏壇だけ?
古くから日本はお米を敬い、ご飯を大切にしてきたことが分かりました。
しかし現代はパンや麺などの主食も普及し、必ずしもご飯が食事のメインとなるわけではありません。
ではご飯と汁物の位置はどこでも良いのでは……と考えてしまいがちですが、実はご飯と汁物が逆だと「縁起が悪い」といわれてしまうことがあるため注意しましょう。
亡くなった人の並べ方で縁起悪いって本当?
ご飯を右に置くという配膳方法は、仏壇に供えるときの作法の一つとして知られています。
そのため、通常時にご飯を右に置いてしまうと「縁起が悪い」「亡くなった人の並べ方だ」という方が多いのです。
置き方を間違えたからといって亡くなった人が怒るわけではありませんが、「縁起」や「ジンクス」も日本古来から伝わる考え方の一つ。
何を信じるかは人それぞれであるため、「気分が悪い」と感じる方がいる場合は普段通りご飯を左に置くことをおすすめします。
仏壇で左右逆に配置する意味とは
「仏壇は左右逆に配置する」というイメージが強いですが、厳密にいえばこれは間違いです。
お供えする側から見ればご飯を右に置きますが、仏様から見ればご飯は左。
つまり、私たちがいつも食べている置き方とまったく同じであるといえます。
あくまでも「仏様から見た配置」をイメージすると、置き方を間違えることなくお供えできますね。
ちなみに仏様はお供えされたご飯をいただき、糧にしているわけではありません。
「今日も仏様のおかげでご飯をいただくことができます」という感謝を伝えるお供えですので、お祈りが終わった後は通常の食事に混ぜていただきましょう。
ご飯を右に置く人は常識不足?マナー違反?
ご飯を左に置くのは正しいマナーである、と多くの人が感じているはず。
では右に置くのはマナー違反なのかといわれると、一概にそうとはいえません。
ご飯を右に置いたからといって「常識不足」と感じることのないよう、それぞれの食事方法や背景を想像することが大切です。
関東と関西でマナーが違うって本当?
主に関東方面では、ご飯が左で味噌汁が右、奥に主菜……という並べ方が一般的です。
しかし関西ではご飯を左に置くのは同じですが、奥に味噌汁、右手前に主菜を持ってくる人も珍しくありません。
一説によれば、これは関西に根付いた商人文化が理由。
何事にも効率を求める商人たちが、味噌汁を飲むときにこぼしたり、せっかくの主菜が奥に追いやられて目立たなかったりといった問題点を防ぐために始めたといわれています。
関西から関東へ、関東から関西へ引っ越すと、その文化の違いに驚いてしまうこともあるはず。
周りに違う置き方をしている人がいても、「遠くから来たのかな」と想像を働かせ、配慮することが大切です。
洋食のマナーは和食と違う?カレーの時はどうすれば良い?
では、元々ご飯がなかった洋食の場合はどうすれば良いのでしょうか。
現在はハンバーグやステーキのセットにライスを頼むことも多いですが、必ずといって良いほど左側に置かれます。
そして洋食の定番・パンの場合も、同じく位置は左側なのです。
洋食では右手にナイフ、左手にフォークを持つため、必然的にフォークで食べるライスは左側が便利。
大きな動作が必要なく、見た目にもスマートに食べられますよ。
また、同じ皿にご飯とルーがのっているカレーライスの場合、ご飯の位置に正解はありません。
右利きのためご飯を右側に置き、1口ずつすくってルーにつけて食べる……という人も。
こちらは自分の食べやすい方に調節し、綺麗に完食できるよう工夫するのがおすすめです。
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【まとめ】ご飯を左側に置くのは古くからの習慣!食べやすい方で綺麗に美味しくいただこう
日本に古くから伝わる習慣が現代にも伝わった結果、ご飯を左側に置くのがマナーになりました。
現在は食生活が多様化し、1人1人に合った食事方法を選ぶことが大切といわれています。
ご飯や味噌汁の位置を気にするよりも、上品に、そして楽しく食事をするよう心がけたいですね。
地域によって異なる配膳方法も、一度学んでおくと良いでしょう。
普段食べているお米に改めて感謝しながら、1品1品を美味しく味わってみてくださいね。